腰が抜けそうになった「観光ガイド」
2007-05-25


旅行の好きな私は、海外に出る前には毎回のように「観光ガイド」を買う それは「地球の歩き方」(ダイアモンド社)であることが多い 世界各地にわたって圧倒的の多くのシリーズ本が出ていて、情報量も多いし、旅先で会う人も同じ本を持っていることがままある 

 読者(旅行者)参加型で、その体験談、ノウハウ、各種情報もウリになっている 私も重宝してきた その反面、「怪しい情報」も含まれている 私の妻がカナダ人に「カナダ編」のヴァンクーヴァーのページを見せたら、「港近辺の情報を信じた旅行者は危ない」と言った 「この町でいちばん危険な地区には地元の人でも行かない なのにそういうことが書かれていない」そうだ 別の日本人も「あの本は丸飲みしない方が良い そのまま信じると(地球の迷い方)になる」と言っていた

 それはともかく、昨年モロッコに行ったときに、やはり事前に「モロッコ編」を買いに行った 香川県に本社を持つ全国300店という大手のM書店の岡山店である ところがふつうはすぐ読むのだが、このときは他にすることがいろいろあって、机に置いたままだった またその時はいわゆる「ツアー」で「タダ付いていけばどうでもなる旅」であった 「また飛行機に乗ってからゆっくり読もう」と思っていた 日本からモロッコへはカタールのドーハで乗り継ぎ、リビアのトリポリ経由で時間はたっぷりあった

 さて飛行機内の食事が済んで、食後のコーヒーを飲みながら例の本をおもむろに取り出した モロッコは隣のアルジェリアからつづくサハラ沙漠の国で歴史も古い 世界遺産もたくさんある魅力的な場所だ ところがページをめくっていっても、世界遺産のことが全く書かれていない 「あれっ」と思い最初から最後までめくってゆくとあることに気が付いた ページの縁のまわりが黄色く変色している これは古い本にある兆候だ 所々拾い読みしても何か情報が古いのだ 表紙に小さい字で書いてある数字を見てヘナヘナと力が抜けた なんとそこには「’89版」と印刷されていた 昨年は「2006年」であった 

 つまりM書店は1989年から17年間以上売れないまま棚にその本を置いていたのだ 「棚卸しも返本もしなかったのか?」思わず笑ってしまった その本は今も手元に「思い出の記念品」として置いてある
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